2012-01-01から1年間の記事一覧

『死刑制度と刑務所のあり方を考える』政治経済学部一年 小林圭

刑務所は何のためにあるのか。受刑者を社会から隔離する懲罰のための組織なのか。それとも受刑者を再教育するための組織なのか。この問題は死刑制度にも当てはまる。死刑を執行するのは懲罰として行うのか。それとも矯正教育を行うことが不可能であるから、…

『私って何者』文学部一年 新谷嘉徳

「私って何者。他人って私とどう違うの。そもそも人間って何。」このように考えたことのある者は少なくないと思う。私も例外ではなくその問いと長い間付き合っていた。私がその疑問を抱くようになったのは小学生からだと認識している。小学生時代から考える…

『地震のあとに』政治経済学部一年 伊藤直哉

昨年の3月11日、日本は未曾有の大地震を経験した。既に1年半の年月が流れた。当時の記憶が薄れてきている人もいるかもしれない。しかし、私には未だに当時の記憶が鮮明に残っている。なぜなら、比較的身近に放射線の影響が目に見えて存在しているからだ。私…

『生活感(生活における実感)』法学部一年 高野馨太

この国を守る。その深切な心意気は何をもって生まれるのか。おそらく、己の生活を守らんとするその心情にあると私には思われます。たとえば可憐な妻を迎えて子を作り、家庭を持った。この生活を守らねばならぬ。そう決意したある人は、己が祖国、己が生活を…

『呼び名』 社会科学部二年 清水健太

私は今年の8月に一人で山陰を旅しました。その際鳥取は米子のとあるビジネスホテルに宿を取りました。ビジネスホテルといっても、年季の入った二階建ての建物で、かなりお年を召した経営者のおっちゃんがテレビを見ながらフロントに腰かけている、どこか温か…

『透明な国』 文化構想学部三年 岡粼綾修

昭和六十二年出生の小生にとって、実際に見聞してきた日本社会なるものは、まさに喪失の連続であった。幼い頃、豪邸の各部屋、便所、風呂を一々施工費用つきで紹介し、持ち主は借金を抱えていて豪邸の買い手を探している旨伝える番組を観た記憶がうっすら残…

『記憶の風化 ―被爆3世として』 国際教養学部1年 鶴田絢女

東京に住む学生の何%が原爆投下の正確な日時を答えられるでしょうか。今年の8月6日で広島は被爆67年を迎えました。広島県民にとって、8月6日午前8時15分は特別な意味を持った時です。広島の友人達は前日からTwitterやFacebookなどでこの瞬間を忘れてはなら…

『SNSにおける言説』 政治経済学部1年 井守健太朗

SNSというものをみなさんはご存じだと思う。Social Network Serviceの略称であるSNSは、インターネット上において、リアルタイムで国境を越えて多くの人と繋がることが出来るツールとして、多数の現代人が利用している。代表的なものとしてTwitterやFacebook…

『他者からの承認』 政治経済学部1年 小林圭

現在、世界には約70億の人がいる。日本にも約1億2,500万の人がいる。これだけ多くの人がいて自分の存在をどうとらえるべきか。果たして私たちは掛け替えのない人間として誰かに承認される存在なのか。自分自身が他者から承認されているか以前に、私たちは何…

『国民と国防』 法学部1年 高野馨太

最近本屋に行ってよく思うことがあります。それは安全保障関係の書籍が非常に多く出回っていることです。おそらく、近年の日本を取り巻く安全保障上の問題が表面化してきたことを受けてだと思います。日本人の危機意識にも少しずつ変化が表れているのではな…

『震災後』 政治経済学部2年 中村雄貴

消費税関連法案が民自公の賛成で可決された。小沢グループの造反を多く出しはしたものの、過半数を大きく超える賛成を得ての可決である。これにより、消費税関連法案は衆議院を通過することになった。もちろん、消費税の増税が非常に大きい問題であることは…

『夏場を前に』 基幹理工学部2年 宮川純一

昨年夏の、とある猛暑日。大学から高田馬場駅まで歩くことがあった。早稲田から高田馬場までは、約1キロ半。炎天下においては地獄のようであった。吹き出る汗をぬぐいながら地獄の道のりを歩いていると、ふと、ひんやりとした冷気が体を包む。どこからともな…

『電子書籍は「平成の黒船」なのか?――音楽業界の革命は出版業界でも起きるか――』政治経済学部2年 伊藤宏晃

平成の黒船がやって来る――。キンドルがアメリカで爆発的に普及した時、日本の出版業界は騒然となった。電子書籍の登場はiTunesにより席巻された音楽業界を想起させ、電子書籍による出版革命を予感させた。 「アンビエント化」という言葉がある。アンビエント…

『旅情の行方』 社会科学部2年 清水健太

先月16日、二つの夜行列車がラストランを迎えた。寝台特急「日本海」(大阪―青森)と急行「きたぐに」(大阪―新潟)である。両列車はこの日を限りに定期運行から退き、以後ゴールデンウィークなどの多客期のみの臨時列車となった。理由は無論乗車率の低迷だ…

『「自由だが冷たい(何もわからない)社会」の中で』 社会科学部2年 平野真琴

昨年の12月に、脚本家・市川森一が亡くなった。大河ドラマまで手掛けた著名な脚本家であったが、個人的には『ウルトラマンエース』が印象深い。『エース』は1972年に放送が開始され、市川が初期のメインライターを務めた作品である。『エース』では男女合体…

『求道者たれ』 社会科学部2年 日下瑞貴

時が経つのは早く、私が雄弁会の門を叩いて早3年の歳月が流れようとしている。寒さ残る早稲田の杜では、芽吹く桜待ち遠しく、新たな想いを胸に新入生達が歩いている。 半期間という短い期間ではあったが、この伝統あるサークルの幹事長を務めた拙い所感と、…

『弁論大会について』 文化構想学部1年 宮田竜太郎

雄弁会のホームページをご覧になる方の多くは弁論部関係の方なのでしょうか。もしそうであるなら、この文章を見てくださる方の多くはおそらく弁論大会に一度足を運ばれたことがあると思います。弁論部関係者(身内)の多くが大会に足を運んでくれる、それ自…

『イオニアのブッダ』 政治経済学部1年 糸氏悠

世界は何から生まれ、何でできているのか。この問いが初めて生まれたのは紀元前6世紀イオニアの地であった。この時この地において初めて神々の住む世界から人々が旅立ったのである。 ほとんど時を同じくして紀元前5世紀インドで世界を探求した哲学者が生まれ…

『ジェームズ・ブキャナンと世代間格差』政治経済学部1年 中村雄貴

ジェームズ・ブキャナン(1919~)という経済学者がいます。ジェームズ・ブキャナンはアメリカの経済学者で、ケインズ批判を展開した経済学者の一人です。ブキャナンはその代表作『赤字財政の政治経済学』(1979)において、財政民主主義の政府において赤字財…

『そこに帰る場所がある』 社会科学部1年 清水健太

私は先日、故郷である愛知県長久手市で、成人式に出席した。 スーツに身を包み、逸る気持ちを抑えながら会場へと向かう。到着すると、会場の外には色鮮やかな人集りができていた。談笑する新成人たちと、会場へと移動するよう彼らに頻りに促している市の職員…

『漂流者たち』 社会科学部2年 齋藤暁

大学では学期末を迎え、学生達は試験やらレポートやらに必死になっている。 皆、正直試験なんかよりも、向かって来る長い長い春休みを心待ちにしていることだろう。 僕もそんな学生の一人なのだが、二年間という長いのか短いのか良く分からないが、それなり…