2011-01-01から1年間の記事一覧

『声をかける』 基幹理工学部1年 宮川純一

2か月ほど前に、人生で初めて骨折した。その後1か月は何をするにもお金と時間と体力を沢山掛けなければならないので、骨折は個人的に大事件であった。今回は、骨折後医者に行き、その帰路を初めて松葉杖で街を歩いた時の体験について記す。そもそも骨折し…

『涙のムコウ』 社会科学部1年 平野真琴

二十年ほど前に『五稜郭』という長編歴史ドラマが放映された。榎本武揚を里見浩太郎が、土方歳三を渡哲也が、伊庭八郎を舘ひろしが演じた大作である。 僕がこれを初めて観たのは小学四年生の頃であった。一番行きたいところは何処かと問われたら「五稜郭」と…

『ラスコーリニコフは何故凶行に至ったか』政治経済学部1年 伊藤宏晃

「もしおのれの思想のために、死骸や血潮を踏み越えねばならぬような場合には、彼らは自己の内部において、良心の判断によって、血潮を踏み越える許可を自ら与えることができると思います――」(『罪と罰』/角川文庫/米川正夫訳) 『罪と罰』の主人公ラスコー…

『自明論』 政治経済学部1年 中村雄貴

電車の中には優先席というものがあります。私は最近、優先席で高齢者の方に席を譲らないで寝ているサラリーマンや若者をよく見ます。こういう光景を見て怒りを禁じえない人も多いのではないでしょうか。もちろん、一般論としては私も同意見ですし、席も高齢…

『鳥と私たち』 政治経済学部1年 藤田康宏

九月中旬に差し掛かっても残暑が引かないこの頃、私は日中自宅から片道20分で東京都吉祥寺にある井の頭恩賜公園にしばしば足を伸ばし木陰の下で時間をつぶしている。意識して運動をする必要のある大学生として毎晩夕刻にランニングをしており、暗闇と静寂…

『「十字架上の日本」と「正しさ」について』 社会科学部1年 松岡宏明

1945年8月15日正午、昭和天皇の玉音放送を持ってポツダム宣言の受諾が表明され第二次世界大戦は日本の降伏という形で終戦を迎えた。もっとも第二次世界大戦における終戦記念日をいつにするかという点については日本国内・日本国外でも諸説あるのだが現在の日…

『空間についての小考察』 社会科学部1年 清水健太

去る7月某日の午前、私は目白通りのとあるパティスリーを訪れた。一人きりの、ささやかな誕生祝いである。お店は繁盛している様子で、騒然としない程度にお客がやってきていた。ショーケースに整然と並んだガトーたちは、月並みな比喩だがさながら色とりどり…

『「千と千尋の神隠し」が教えてくれるもの 〜Good human relation 僕らの胸にも髪飾りを〜』社会科学部2年 日下瑞貴

1 初めに 以前は、スタジオジブリから「『天空の城ラピュタ』が教えてくれるもの〜anastorophe崩壊へ〜」とサンライズから「『コードギアス反逆のルルーシュ』が教えてくれるもの〜虚構の世界から、ポストモダンの動物たちへのメッセージ〜」と題したコラム…

『東京都知事選に思う』文化構想学部1年 宮田竜太郎

4月10日夜9時、私は友人と一緒に東京都知事選の選挙速報をテレビで見ていた。 選挙結果を見て、私はショックのあまり声が出なかった。 石原慎太郎氏が当選したからではない。若者の投票率があまりにも低すぎたからである。実際、投票率は20代が31%、30代が44…

『後輩として、先輩として』商学部2年 大谷麟太郎

このほど我が早稲田大学雄弁会に新入生が入会した。彼らと議論したり、弁論原稿を見せてもらったりしていると、自分も先輩になったんだなと改めて感じた。6年ほど前、アルバイトを始めた当初私は仕事の覚えが悪く数々の失敗をした。なかでもとりわけ大変だっ…

『「学び」とはなんだろう?』政治経済学部2年 徳本進之介

最近、司馬遼太郎さんの「項羽と劉邦」を読みました。そこでずっと気になっていた場面があります。劉邦の股肱の臣である張良が、ひょんなことから太公望の兵法を教授してもらう場面です。張良が秦の始皇帝を暗殺しようとし失敗し各地を亡命しているときの話…

『3.11を思う』社会科学部2年 齋藤暁

2011年3月11日14時46分 宮城県沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が起きた。 僕の故郷はもっとも被害の大きかったと言われる宮城県気仙沼市の鹿折地区である。あの日僕は東京にいたのだが、地震が起きた瞬間、直感的に思った。 「宮城にきたかも…

『海の鳥・空の魚』ファイナンス研究科1年 稲波紀明

『神はまた言われた。 「水は魚の群れで満ち、鳥は地の上、天の大空を飛べ」。 神はこれらを見て良しとし、また祝福して言われた。 「生めよ殖えよ。魚は海の水に満ちよ、また鳥は空に殖えよ。」どんな人にも光を放つ一瞬がある。 その一瞬のためだけに、 そ…

『占守島の戰』法學部1年 石本仰

一昨年、元陸軍中尉岩荑栨氏の講演を拜聽する機會に惠まれた。氏は昭和20年8月18日、ソ聯との輭に起つた占守島の戰に參加、シベリア抑留を經て昭和22年、日本に生還した。この占守島の戰に於ける日本軍の奮戰により、北海道はソ聯の領有を免れたといはれる。…

『“When you face a difficulty, word will help you. “』政治経済学部1年 徳本進之介

“In the beginning was the Word, and the Word was with God, and the Word was the God.”有名すぎるこの言葉は、新約聖書のヨハネによる福音書の第一章第一節。 普通、日本語では「初めに言葉ありき。言葉は神とともにありき。言葉は神だった。」と訳され…

『嫌いな映画の話』文化構想学部1年 宮田竜太郎

私は映画鑑賞が好きである。今日まで、映画館で、ビデオで、DVDで、いろいろな映画を見てきたが、今回はそのなかでも最も嫌いな映画の1つである『ファニーゲーム(原題funny games)』という映画について述べたい。尚、これから述べる内容は、一個人の主観で…