「ブロードキャスト」

政治経済学部2年 太田龍之介

政権発足以来、支持率を低下させ続けてきた麻生内閣自民党に、ようやく復活の兆しが見えてきたのだろうか。今月6、7日に毎日新聞が行った全国調査で、民主党及び小沢代表の支持率の低下と、自民党の支持率の増加が明らかになった。当然先の政治献金問題を受けてのことであるため、今後の捜査の進展によってまたいくらでも状況は変化するであろうが、私が気になったのは自民党の支持率増加である。民主党や小沢代表への期待が低下し、支持者が減少することは当然であるが、それが何故自民党の支持率増加へと結びつくのか?(当然ながら無党派への流出も存在するが、自民党支持7ポイント増、民主党支持11ポイント減であったので、自民支持の増加の方が大きいと言える。)

理由は2つ考えられる。一つは報道による印象により、国民の政治的スタンスが変化するということ。就任以来問題となる発言を繰り返したことが報道され、内閣支持率は低下し続けた。世界金融危機を受けての不況に対する政策が評価されていないという面もあるが、不支持理由の半数近くは「首相の指導力への不信」である。これは報道により内閣および自民不信が煽られ、政権担当者の代案としての民主党への期待が高まる、という構図であった。噛み砕けば、「なんだか麻生さんはダメそうだし、民主党の方が良さそうだ」という機運が、内閣発足以来続いてきた、ということである。これが、今回の事件によって覆されてしまった。「やっぱり民主党も駄目かなあ・・・。結局自民党かなぁ。」もう一つは、国民の政治リテラシーが高まって来た結果としての、支持増大である。昨年の自民支持低下、民主支持増大は、これまで半ば幻想であった政権交代を、急速に現実のものへと引き寄せた。自民党が与党の椅子を明け渡しかねない流れの中で、いたずらに反自民を唱えることが出来なくなってしまった。仮に政権交代が実現したとして、民主党が政権を取るに値しない政党であったならどうだろうか・・・?このように思考する事が求められる時代になっているのである。

我が国の国民は、どちらの判断を取っているのだろうか?ただ、今は注意深く、マスメディアによって何が報道されるか、それをどう国民が解釈するか、それを見守っていくしかないであろう。