「地域活性化のための戦略」

国際教養学部1年 佐瀬祥

このコンテンツでは、以前WEB企画の政策部分で挙げた、北海道地域産業クラスター計画についてさらに深く述べていきたいと思う。そして、この例を取り上げることで、税収が不十分な多くの地方経済を活性化させるため手段の一例としてみていただけるなら幸いである。

はじめに、「産業クラスター」について触れる。産業クラスターとは、経済産業省が我が国の産業の国際競争力を強化させるとともに、地域経済の活性化を図るため、全国各地に中堅中小企業・ベンチャー企業等が、大学・研究機関等の活用を通して、産学官連携、産業連携、異業種連携の広域的なネットワークを形成し、新産業・新事業が次々と生み出されるよう推進しているものである。

そもそも、クラスターの本来の意味は「ぶどうの房」であるのだが、ここでは転じて軍や集団を意味する言葉として用いられている。この産業クラスターのメリットが何であるのか、北海道における事例を取り上げてみていく。北海道では、平成13年度から「サッポロバレー」として情報系企業の集積が進んでいる情報分野と、大学が大学や研究機関の高技術によるバイオ分野を両輪とした「北海道スーパー・クラスター進行戦略」を推進し、産学官が有する知的資源等の相互活用によって、北海道内の地域企業にとどまらず、世界市場をも早い段階から視野に入れ、世界に通用する企業群の輩出を目指し活動を行ってきた。これまでに形成されたIT・バイオ分野の企業ネットワークは目覚しい成功を挙げ始め、研究開発では産業技術総合研究所北海道センターを筆頭に大手製薬メーカーの参加、植物工場の活用から医療品原料の製造を目的としたナショナルプロジェクトの開始、といった新たな活動が活発化している。また、地域資源を活用した経済活動の活性化も図り、IT・バイオ分野の企業に北海道の基幹産業である第一次産業や観光関連産業を連携させて、新産業と既存産業が相互に競争力を高め合う好サイクルを創出させることで、世界に通用する企業群の生産と地域経済の内的発展と、新たな雇用創出につながるのである。

このように産業クラスターは地域発展に非常に効果的なものであり、地域中心型の社会創出が可能となるのである。