『アフリカ救済へのシナリオ第一弾 〜今、何が起きているのか〜』政治経済学部1年 徳本進之介


早稲田大学雄弁会
道コンテンツ「アフリカ救済へのシナリオ」
                          政治経済学部1年徳本進之介

第1段〜今何が起きているのか?〜


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みなさん、朝も夜も食べ物がなく困っている人々のことを想像できますか?
3人に1が飢餓で苦しんでいる社会を想像できますか?現在飢餓で苦しむ人々は10億人を超え、ますます増加しています。なかでもアフリカの飢餓問題は特に深刻です。私が理想社会として描くのは、「生活基盤が担保された上で、自分の努力により自分の望む、ないし納得できる生き方が可能な社会」です。ここでの「自分の望む、ないし納得できる」とは、生まれた場所や環境といった先天的要素に関わらず、自分の望む生き方に向けて努力することができる状態を指します。   
私の問題意識は、途上国の飢餓問題です。私の理想社会である自分の努力により自分の望む、ないし納得できる生き方が可能な社会実現の為には、大前提となる生命維持のため食糧が担保されなくてはいけません。
しかるに、現在の途上国の飢餓問題は、大前提となる食糧すら担保されてないという点で私の理想社会と正反対の状況を呈しております。それゆえに私は、途上国の飢餓問題について、強く問題意識を抱くのです。
本コンテンツの内容としては、まず飢餓の定義を明らかにし、飢餓の現状を確認します。中でも特に深刻なアフリカの飢餓の現状をデーターを基にして取り扱うことにします。

1飢餓の定義
飢餓とは、食料を十分に手に入れることができず、慢性的な栄養不良になることを指します。FAOによると生命を維持するだけではなく、健康で社会的な活動を行うために十分な食料を得られるべきという考えから、FAOでは、食事エネルギー摂取量がBMRの1.54倍に満たない人々を飢餓と判定しています。しかし、BMR は個人の体重や年齢によって大きく異なるほか、成長期の子どもには適用できません。そのため10歳以下の子どもについては、BMRとは別に体重1キログラムあたりの食事エネルギー必要量が定められ、それに満たない状態を飢餓としています。

2飢餓の現状
まず飢餓で苦しむ人々の推移を見てみましょう。


図1飢餓人口の変遷(FAOの統計に基づく、縦軸単位は100万)

図1からも明らかなように、飢餓人口は年々増加しています。特に、ここ近年は世界的不況の波を受け急激に増加しています。飢餓で苦しんでいる人々が前年より1億5千万人増加し、10億2千万人になったとFAO は発表しました。現在、世界の6人に1人が飢餓で苦しんでいるの です。
世界では1分間に約28人(うち子ども21人)、1日に4万人、1年間に1500万人が飢えで亡くなっています。また、飢餓が及ぼす影響は、学習能力の低下、感染と死亡のリスクと多岐にわたり、これらは国連のミレニアム開発目標でも、飢餓の状態では、免疫力を低下させ、医療整備の不備をより一層深刻にしていると報告されています。

ではどのような地域に飢餓が集中しているのでしょうか?



図2飢餓人口内分け(FAOの統計に基づく、縦軸単位は1千万)
図2からも明らかなように、飢餓で苦しむ人々が最も多く住んでいるのがアジア太平洋地域です。アジア地域で飢餓がひどいのは、西アジア地域(インド、パキスタンなど)と東南アジア地域(カンボジアなど)と中国です。旱魃や洪水、疫病などのさまざまな事情による飢餓が発生しているのです。数で見たら図の通り、アジア地域が一番多いですが、割合でみれば、アフリカが一番深刻です。

3.アフリカの飢餓
現在、飢餓は、2 億6000 万人つまり、アフリカの全人口の約3分の1もの人々を巻き込んでいます。また、飢餓で苦しむ人々の数は減るどころか、毎年200万人もの増加傾向にあるのです。
アフリカ地域でも特にひどいのはサハラ以南アフリカ、具体的にはスーダンエチオピアソマリアなどの国です。この地域は、頻繁に起こる地域紛争・民族紛争、異常気象による自然災害、教育問題などから飢餓が絶えない地域となっています
3アフリカの深刻さ
世界には、国内総人口の35%以上の人たちが栄養不足の国が27カ国ありますが、そのうちのほぼ80%つまり21カ国がアフリカに集中していて、アフリカの国々は総人口に対する栄養不足人口の割合が高くなっています。
5歳になるまでに、約5人に1人が、命を落としているというアフリカの飢餓問題は、世界を見てもこれほど深刻なところはなく、世界で最も貧しく重い借金を抱えていると世界銀行が認定した重債務貧困国の80%がアフリカの国々であり、深刻な飢餓問題が、アフリカに集中して存在するという点で広範囲な解決策が必要なのです。食糧援助対象者数が10年間で2倍に増加し、飢餓人口も、1年間に200万人のペースで現在も増加し続けているという点でも今すぐ解決せねばならないのです。
またアフリカ各地では化石燃料、ウラン、レアメタル等の鉱物資源が産出され、これらの資源の需要は高く、安定供給が求められております。
さらに、アフリカでは人口増加率が世界で一番高く、2050年には世界人口の20%を占めると推定されており、アフリカを広大な市場として捉え、貧困層の人々に対し、安価で、生活に役に立つ商品を提供するビジネスも注目を集めています。

4様々な統計からみたアフリカ
【絶対貧困率

図3 1日1ドル以下で生活する人の割合 縦軸単位は%(World Bank, Global Economic Prospects)
絶対貧困とは、1人あたり年間所得370ドル以下とする世界銀行の定義や、40歳未満死亡率と医療サービスや安全な水へのアクセス率、5歳未満の低体重児比率、成人非識字率などを組み合わせた重度の貧困を表す指標です。
1日1ドル以下の絶対貧困下で生活するアフリカ人の数は、1990年の2億4,100万人でしたが、2000年には8200万人増加し3億2,300万人になってしまいました。また2015年には、さらに増加し3億6,600万人に達すると予測されています。図3からも明らかなように、世界全体の絶対貧困者数は、1990年から2000年の間に約1億人減少しました。また2015年にはさらに減少し、7億3,400万人へと減少すると予測されています。
同じく東アジア諸国でも、90年代、1日1ドル以下で生活する人の比率はほぼ半減しました。また、1990年、南アジアでは1日1ドル以下で生活する人の割合は41.5%と高かったですが、2015年には16%へ減少すると推測されています。
これらから分かるようにアフリカでは、絶対貧困下で生活する人の数、割合ともに増加しており、2015年においても芳しくない状況が続くと予測されているのです。


【乳児死亡率】


図3 乳児死亡率 (WHO/UNICEFを参考に作成)

乳児死亡率は、1000人の出生に対して5歳以前に亡くなる子供の数、つまり、5歳以下の誕生日を前に亡くなる子供の確率である。世界では毎年ほぼ1050万人の5歳以下の子供がなくなっており、そのうち約半数がアフリカで、ここ12年間はエイズの流行が状況をさらに深刻にしている。
【平均寿命】


平均寿命は、一定の時期の一定の人口の中での死亡年齢の平均である。寿命の平均値は、罹患率や死亡率と組み合わされた結果でもあることから、健康度を表す際に最もよく用いられる指標である。
平均寿命はここ50年で20歳ほど伸びているが、上図から分かるようにサハラ以南アフリカの低さが目立っている。すべての国で60歳未満であり、中には40歳台の国もかなりの数存在している。しかもこれらの国のほとんどは平均寿命がここ20年で後退している国々でもある。

5.まとめ
本コンテンツでは、飢餓問題の現状分析、特にアフリカの現状分析を取り上げました。
次のコンテンツでは、飢餓が解決しない原因を取り上げ、あらたに政策を提言します。