隠れた世界vol.3

文学部1年 奥田綾香

水田稲作による自給自足生活のために、まず地域住民が主体となった、水田造成、先進国の農業指導による活用が必要である。なぜならこれまで、アフリカでの自給自足農業の支援には世界銀行をはじめとする国際機関が大きく関わっており、世界銀行は大規模灌漑開発に代表される総合農村開発型インフラ整備を行ったが、これは水田の不整備により土壌浸食をもたらし、このような国際機関の支援を有効に利用できていないからだ。
水田造成は簡単であり、作業は基本的な農具で行える。また、内陸小低地では土壌は砂質であるが、畦土は15日から30日でかたまり、人の歩行に耐えることができるほど丈夫なものになる。水田造成を行い持続的な自給自足生活のためには造成後の活用である。これには、先進国の農業指導を兼ねた活用であり、地域住民の水田の効率的活用を支援することが可能となる。その具体的な政策が以下の2つである。
1 水管理
これは稲作農民同士が共同体を形成し、灌漑水路の管理をすることを目的とする。世界銀行の灌漑設備を有効活用することにもつながる。この水管理では、稲作農民がそれぞれ管理する水路の分担をし、その分担箇所を定期的なサイクルで変更することで、管理に不備がないかをチェックすることができる。
2 育苗、施肥
低所得で食糧確保の難しい住民たちは、食糧生産量拡大のための高品質種子や化学肥料を買うことができず、食糧生産量が低くなっている。FAO(国際食糧農業機関)は1994年に食料安全保障特別プログラム(SPFS)の一環として、限られた地域を対象として、農民や地元住民に農業生産性向上に係る訓練を施すと共に、農機具及び種子を供与した。また、国際機関などによる、肥料の供与などが支援活動としておこなわれている。これらの支援をより、浸透させるために、種子や肥料の無料配布と並行した国際機関による農民のための種子、肥料の貸付が有効であると考える。高品質種子や、肥料を農民に無料で供与し、同時に収量増加のための農業指導を行う。農業指導によってこの種子、肥料による一定の収量増加を達成できたら、農民が主体となった食糧生産に移行し、自分たちで水田稲作を行えるようにする。しかしこれは短期的に達成できるものではなく長期的なものであって、農民のインセンティブとなることを考える。種子や肥料、農業指導による収量増加は農民の意欲向上にもつながる。これらの政策によって水田稲作を効率よく行え、アフリカ住民の自給自足生活への第一歩となり、飢餓半減につながることであると考える。