「碇」

法学部2年 金子萌

私、金子も大学の二年になり、大学生としての二度目の春が終わろうとしています。去年よりもずっと大学生活を上手に過ごせていると感じる今日この頃であります。さて、最近、のことですが、ふと漫画喫茶に立ち寄り、ついつい夢中になり深夜遅くまでそのお店にいた時のことです。ある男性が店に入ってきて、「ただいまー。」と店にいたもう一人の男性に声をかけました。そしてそのもう一人の男性は「お帰りー。今日もお疲れ様です。」と返事をし、お互いにその日してきた(?)仕事の話を始めました。

ワーキングプワーという言葉が少しずつ人口に膾炙してきたのはここ最近のことでしょうか。私はNHKスペシャルでその特集を見て衝撃を受けた記憶が未だに鮮明に残っていますが、昨今、新たに「ネットカフェ難民」「ワンコールワーカー」という言葉が頻繁にメディアに出るようになって来ました。前者は定住する家を持たず漫画喫茶やインターネットカフェなど安価な宿泊施設に泊まること、であり後者は前日または当日の朝に電話やメールによって仕事内容が伝えられ、直接就労先へ向かうという日雇い派遣を意味する言葉です。つまり、今、安定した所得がないがために定住することができる場所をもたず、日雇いでその日、明日の生活費を稼ぐという非常に過酷な労働条件で働いている人々がいるのです。上述したように、私自身、大学生活の中で漫画喫茶に行く(宿泊することもしばしば)ときにそのような環境にいる方が同じ店にいるときなどもあります。

 高校・大学を卒業したにも関わらず就職が出来ずに(もしくは辞めてしまい)日雇い労働に甘んじている人々が多くいます。そのような人たちにとっては昨今の「労働市場は売り手市場!!」といった言葉は空虚に響きます。なぜならば、それは新卒限りであり、まったくと言っていいほど、そうした人たちに門戸が開かれていないからです。

では、どうすればいいのか・・・。

 これは非常に難しいです。こうしたネットカフェ難民と呼ばれる人々は、定住している場所がないため、そもそも実態を把握しづらいのです。それゆえに政府が対策を採ったとしてもニーズを把握しきてなかったり、情報が届かなかったり、その情報にミスマッチがあったりすると効果を発揮しない。幸いなことに、今月12日、厚生労働省が本格的な実態調査を行うことを明言した。これによって、最初の一歩は踏み出されたわけである。

 国内に「難民」呼ばれるほど過酷な状況で生きている人々がいる。そうした状況を打開するための活動は始まったばかりである。