第五弾:まとめコラム


政治経済学部1年 佐藤有希子


本コンテンツにおいて私は、今日の日本で働いても働いても生活保護水準以下の賃金しか得られないワーキングプアの増加について、原因の分析と政策提言を行ってきました。

まず、産業構造の変化と不況を背景として非正規雇用が増加し、非正規雇用者は企業の人件費削減志向による雇用形態差別化のために減少しないこと、能力開発の機会が正社員に比べ著しく少ないために非正規雇用としてとどまり続けてしまうことと述べました。次に、能力開発のための社会保障制度である雇用保険は加入用件や年齢制限のため必要としている人が利用できていない現状を述べました。そして、雇用形態による賃金の差別化を撤廃するべく同一労働同一賃金の導入を、能力開発の機会を担保するべくリカレント教育の導入について政策提言して参りました。

コンテンツを進めていくなかで、コンテンツの内外で議論は行われました。そしてそれは新たな観点を得、方向性をより明確にするものでした。

まず、 国が国民を保障をするということは必然的に国民ではない者、つまり外国人を排除することにつながりかねません。社会保障、特に生存権は、その主語を「国民」としており、日本国籍をもたない者にたいしては排他的であります。今後日本は外国人に労働を頼らざるを得ません。移民政策が進んでいる欧米諸国でおきている問題、それは、移民が働く貧困層、つまりワーキングプアとなってしまいがちなこと、教育・社会保障を受けられないことです。EUにおいてはかつては国内労働者が国外からの移民により職が奪われることが問題でしたが、近年はイスラム教徒のアラブ系移民の職が東欧移民により脅かされていること、つまり移民同士の職を巡る争いが問題となっております。以上のことから、移民政策と、いかにして日本人のみならず外国人も含んだ包括的な社会保障をしていくか、外交していくか今後考察が必要な点であります。

今後日本が国際社会の中で生きていく以上、世界の国々と調和をしながら未来を探る必要があるため、移民政策・は今後も十分検討すべき問題です。

これまで読んで頂いた方々、議論して頂いた方々に、深く御礼申し上げまして、本コンテンツの締めといたします。