「MAKE」 文学部2年 奥田綾香

朝起きると、クローゼットを開けて無造作に重ねられた洋服から今日は何を着ようか悩むのが一日の始まり。
スカートをはいて、鏡に向かって化粧をしたり髪の毛を巻いたり。
最近夜更かしが増えたせいか肌の調子がよくなくて化粧ののりがよくありませんなどなど朝から騒がしい女子って多いと思う。
でもヘアメイクをバッチリきめたって周りは誰一人気にしてないのが現実。
朝から無駄にカロリー消費するにも関わらずやせないしどうして?

 
最近あるDVDをレンタルして見た。
鈴木由美子さん原作の恋愛コメディ漫画を韓国で映画化した「カンナさん大成功です!」。
身長169センチ体重95キロの主人公は想いを寄せていた男性からの思いがけない言葉に傷つき全身整形を決意する。
そして整形した彼女は誰もが振り向く美女となり、彼の前に別人として再び現れる。
かわいくなって好きな人に振り向いてもらう。
そんな主人公のかわいらしさがにじみ出た笑いあり涙ありの作品で私はとても感動した。

 
 「人は外見ではない。中身だ。」なんて言葉をよく耳にするし、外見ばかり気にして挙句の果てには整形までする。
そんな滑稽なことあるか。と思う人もいるかもしれない。
しかし、外見を気にすることは、自分がこれから出会う人に対して、その人を大切に想っていることを伝える一つのかたちではないだろうか。

この映画で主人公は他の誰のためでもなく、想いを寄せる男性唯一人のために全身を整形した。
しかし、彼にとって彼女が整形することなんてどうでもいいことだし、整形した彼女がかつての太っていた彼女であることに気付きもしないのだ。
整形した彼女に気付いたとき彼女がこれまでどれだけ彼を想ってきたか、彼のためにどれだけ努力したか、本人でない彼には想像もつかないだろう。

 私たちの普段の生活でも同じだ。
大切な人と午後に会う約束がある。寝癖はついたまま、ランチにはにんにくたっぷりのラーメンを食べて会うなんてことはしない。
いつもよりも鏡をよくみて、自分の外見は相手に不快感を与えないか考えたりするのではないだろうか。


 それは相手のことを大切に想っているから、少なくともどうでもいいなんて思っていたら気には留めない。
だから、誰かに会うということを当たり前のことではなく相手は自分と会うためだけに時間を割いて目に見える以上のことをしてきてると頭の片隅にでもおいておくとその時間をより大切に想えるのではないだろうか。

 中谷彰宏さんは彼の著書の中でこうおっしゃっている。
「30秒でも発言をするということは、相手の寿命を30秒いただいているということです。」
つまり「話せるチャンスに感謝しよう」と。
心から感謝するのはもちろん、外見も行動で感謝を示すひとつのツールである。
ふと出会った友人との30秒、わざわざ約束をして会う人との30秒。
人と出会う機会はたくさんあるわけだからそう考えると誰のためでもなく朝騒がしくすることも整形することもこれから出会う人への想いを伝えることになりはしないか。



そんなことを考えた週末だった。