『雄弁会員としての所感』 社会科学部2年 阿部伸弘

4月、早稲田大学は今新歓期真っ只中である。一説によると1000以上もあるといわれる早稲田のサークルは新入生を獲得する為にあの手この手を使い新入生にアピールする。そんなサークルの中で一際目立つサークルが存在する。それは雄弁会だ。雄弁会は新歓の間、他のサークルが新入生にあの手この手を使ってサークルに入れようとする中、雄弁会に興味を持ち、ブースに足を運んだ新入生に「君の問題意識はなに?」と聞き、何も答えられない場合は最悪の場合追い返してしまうこともある。私はそんな早稲田のサークルの中では数奇な例といえる雄弁会に惚れ込み、一年前に入会を決意した一人だ。まだ雄弁会を1年しか経験していない私であるが、雄弁会で一年活動した所感を述べさせていただきたいと思う。

そもそもなぜ私は雄弁会に興味を持ったのか?その理由は高校3年の夏の受験期に遡る。高校三年の夏から自身が生まれたこの日本という国の将来に強い問題意識を持ち国の将来に強く貢献したいという気持ちが生まれた。この気持ちが生まれてからというもの私は自身の将来を真剣に考えるようになり、また行動するようになった。その結果として、いくつかの苦労があり何度も現実を投げ出そうと考えたが、自分の問題意識を解決したいとする気持ちは強まるばかりであった。こういった気持ちは今も絶えず持ち続けており社会を変えたいという気持ちは日に日に増すばかりだ。だが現実は甘くなく自身が将来社会にどう貢献できるのか?ということを考えだすと真剣に考えれば考えるほど答えは出なくなってしまう。それは自身のやりたいことと、自身の能力が適していて、また社会変革の実現可能性を不断に自分に問い続けなければならないからだ。

雄弁会にいると常にこの点を考えさせられる。それは雄弁会が単に社会問題に対して意見を言うディベートサークルではなく「自身の理想社会の実現」を求められるからだ。これは裏を返せば理想社会の実現に向けて自身の貢献性も求められているということにも繋がる。つまり自身がその問題解決に寄与できるのかということも問われるのである。それを考えるということは自身の将来を不断に考え続けることになり必然的に自身の今の学生生活についても「現状のままでよいのか?」と問い続けることとなる。また自身の考えが纏ったと考えそれを主張すると他の雄弁会員から疑問点を問い続けられるのだ。

私は雄弁会の魅力は自分について主観的に客観的に本気で問い続けることにより精進できるところだと考える。