『リーダーとしてではなくリーダーになるために』  教育学部3年 岡田想

半年間雄弁会の幹事長を経験してみてリーダーのあるべき姿というものがおぼろげながらわかった気がする。幹事長になった当初はとにかく仕事の割り振り・外部対応が最も重要な役目だと考えており、そのための指示・コミュニケーションを中心に行動していた。最初はそれでうまくいったがやはり後半になればうまくいかないものだ。組織というのは様々な価値観・能力を持った者の集まりであり、最小限の労力で仕事をこなしてしまう者もいれば、非効率なやり方ではあるけれども求めた以上の結果を生みだしてくれる者もいる。あるいはこちらが求めていたことと違った結果になってしまうことも多々あった。そんな時正直言ってしまえばもどかしい気分になったりもした。しかし、考えてみれば求めていたことと違った結果になったのは、自分の指示が細かくなかったからであろう。「一を聞いて十を知る」という言葉があるが、こちらが一を伝えても一しかわからない者もいれば、二わかる者、十までわかってしまう者と様々だ。そこでリーダーに求められるのはこちらが求めるものを十二分に伝えることだろう。組織を統括するという役目を負うリーダーは、組織を自分の意思どおりにスムーズに動かすために何よりも自分の意思を相手に伝えなくてはならないからだ。もちろん、人材を育てるためには時に一しか伝えないことも大事だが、「このぐらいわかって当たり前」この考え方から一度離れて指示をするということがいかに大事なのかを身にしみて理解できた気がする。そして最終的にリーダーとして何よりも求められるのは「最後に責任を負う」ということである。どんなに細かく指示を出しても、必ずどこかで不備・問題は生じてきてしまうものだ。そんな時リーダーに求められるのは、責任をとるということであり、言ってしまえば「尻拭いをする」ということである。「責任」、たった二文字の言葉であるし語るのは簡単だがそれを背負って行動するというのは容易ではない。結局リーダーになろうと思ったら一度その立場に就くしかないというのが私の結論である。
余談ではあるが、リーダーに求められるのは責任能力も必要だが、何といっても人を引き付けられる魅力も必要だ。ではどんな人が魅力的に感じられるのだろうか。立場上社会の第一線で働いている方たちと会う機会もあったことから見えてきたものがある。それは端的に「えー」や「あの、その」といった言葉を使わない、たとえ話を用いる、堂々としている、である。なんだ当り前じゃないか、と思ったあなた、意識してまわりを見てみると実践できている人は意外と少ないのではないだろうか。

やはり魅力というのは会話をすること、その人の話を聞くことで伝わるものだ。しかし会話や話の中で何度も「えーっと」や「あのー」という言葉が多用されると、話もスムーズに入ってこないばかりか、言っている言葉に対して自信がないのではないか、といった疑念もわいてしまう。また、たとえ話を用いることで内容のイメージ化を図ることができるとともに話に深みを持たすことができる。そしてなんといっても魅力的な人は自分に自信を持って堂々と話しているものだ。話すのが得意ではないと感じている人にはぜひ実践していってほしい。
結局何が言いたいかというと、人は一朝一夕でリーダーにはなれない。リーダーになろうと思ったら日々考えそれを実践するしかないということだ。