隠れた世界vol.1

文学部1年奥田綾香

アメリカの金融危機から、世界中で不景気が叫ばれ、日本も当然のごとくその影響を受けている。需要低迷から消費は冷えこんでいる。しかし、そんな中でも、シーズンによっては需要拡大に影響する商品もある。チョコレートがまさにその例である。チョコレートは年内を通しても、日本人にとっては需要のある商品である。チョコレートだけでも、菓子生産の国内市場において和菓子、洋菓子に続くシェアを持っている。また、日本チョコレート・カカオ協会の統計によると、バレンタインシーズンの販売額だけでも年内のチョコレート販売額の10分の1を占めている。また、バレンタインのチョコレート市場は不況にも関係なく、今年度は前年度よりも売り上げが増加すると予想している。その理由のひとつに、「2年ぐらい前から『バレンタインデーには高級チョコを買おう』という考えが定着した」から、バレンタインにはチョコレートを味わおうという風潮に変化したことがあげられる。そこで思い起こしていただきたいことが、このチョコレートの主原材料はカカオであるが、このカカオの輸入はアフリカに大きく依存しているということである。普段何気なく私たちが口にしているものが、実は遠いアフリカからきたものであるということだ。カカオ豆の世界国別生産量はアフリカが合計の7割をしめている。このデータからもアフリカのカカオ生産量が多いことがわかるが、その一方で、自らが口にする食糧が確保できないことからアフリカでは飢餓が深刻な問題となっている。世界人口60億に対して、世界の飢餓人口は8億3千であり、貧困問題が特に深刻なサハラ以南のアフリカに全飢餓人口の2割以上が集中している。また、その地域では全人口の3割が飢餓の状態にあり、その他の途上国を合わせた全地域でも人口に対する飢餓の割合が一番高くなっている。このような現状のアフリカではまず、自給自足農業によって飢餓撲滅の一歩を踏み出すことが必要であると考える。そもそも飢餓人口の多い貧しい国々でも、成長できる国とできない国にわかれる。そして、その決定因になるものが食糧生産性である。このふたつの国にはある特徴があり、ヘクタールあたりの穀物の収穫量が多く、ヘクタールあたりの、肥料の消費量も多い国は、貧しくても経済成長に成功する可能性が高いことだ。世界銀行のデータからも食糧の収穫量が低かった国々はその後経済を悪化させた国が多いのに対し、低所得国の中で、穀物の収穫量が多かった国ほど経済成長率も高くなっているのだ。アフリカでは人口増加から食糧需要も増加しているのに対し食糧生産量は減少している。アフリカの食糧生産量が低い理由には肥料や農産物を市場に運ぶためのインフラ、肥料、灌漑、新品種などの不足がある。これらの問題を解消することが食糧生産量の増加につながるが、資金が必要となってくる。その資金繰りのためにもまずは自給自足の生活を達成することが必要である。自給自足農業は飢餓の半減にも、また、低い食糧生産量問題を解消することにも有効であるのだ。私はこのWEB企画によって、どうすればアフリカの人々が自給自足への第一歩をふみだすことができるのかを現状分析と政策によって提言したい。