「動物もストレスを感じる、しかし...」

商学部1年 花房勇輝

ストレス。それはなにも私たち人間に特有のものではない。

低い知能を持ち、比較的単純な感情しか持たない(と一般には考えられているであろう)動物にも、ストレスは存在する。それも、ごくわずかなものではなく、動物を死に至らしめるような・・・。


例えば、ウサギはストレスに極端に弱い動物だという。

具合が悪くなったとき、ウサギを動物病院に連れて行く。そこでは、体を触ったり、いろいろな検査をしたり、注射やその他の処置をする。

しかしながら、動物病院で体を触られることは、ウサギにとって獣医師という「見知らぬ人から触られる」ことでしかない。人間に触られること自体に慣れていないウサギならば、触られることによってかなりのストレスがかかりかねない。

ウサギの診察でよくあるトラブルは、「病院に連れて行く前は普通だったのに、病院で注射してもらってからぐったりした」というものだという。別に変な注射をしたから具合が悪くなったのではなく、ウサギはストレスがかかると具合が悪くなる可能性を持っている動物であるということだ。

また、「病院に爪切りに行き、ばたばた暴れるのをむりやり押さえつけて処置したら、次の日から何も食べなくなって4日後に死亡した」という例もあるという。


さらにこんな事例もあるという。

サルは群れの中の権力闘争が激しく、階層意識も高いことで知られる。あるサルの群れを大量に捕獲し、ボス猿も含めて同じ檻の中に閉じ込めていた。しかし数日後、そのサルたちはほぼ死んでしまったという。

それは、栄養不足でも疫病でもなく、ただ「ボス猿と狭い檻の中に一緒にいる」という理由によって、である。



では、動物よりも格段に知性が高く、感情も複雑な私たち人間はどうだろうか。


この社会は様々なストレスであふれかえっている。その種類は失業や過労といった社会的な問題に起因するものから、失恋や親しい人の死といった人間関係的な問題など多岐にわたる。

そして、私たち人間は、こうした多くのストレスにさらされている。


実際に、そうしたストレスを積み重ねていくことで発症する、うつ病などの”こころの病”にかかる人が増加している。そして、自殺者は年間3万人以上にも上る(自殺者の95%が生前、心の病にかかっていたとするWHOの調査結果もある)。


どこか異常ではないだろうか、この社会の現状は。



動物たちは、残念ながら受けたストレスを自分ではどうすることもできないだろう。

しかしながら私たち人間は違う。

受けたストレスを軽減する、そもそもストレスを生み出す社会的な原因自体を解決していく。そして、こころの病の発症や自殺という「悲劇」を減らしていく。

こうしたこともできるはずだ。


ストレス社会と呼ばれる現代の人間社会には、今それこそが求められているのではないだろうか。