"Don’t feel, think" 教育学部二年 山口宇彦

1970年、大阪で開催された万国博覧会のテーマは「人類の進歩と調和」であった。高度経済成長の中で日本人が抱いた、科学技術の発達が人類のすべての課題を解決し、平和で繁栄した社会を作ることができるという、前向きで希望に満ちた未来予測がこのテーマに…

"Amor fati" 商学部二年 清水寛之

「人間の偉大さを言いあらわすためのわたしの慣用の言葉は運命愛である。何ごとも、それがいまあるあり方とは違ったあり方であれと思わぬこと、未来に対しても、過去に対しても、永遠全体にわたってけっして。必然的なことを耐え忍ぶだけではない、それを隠…

『「イマ」というほうき星』法学部一年 野村宇宙

「いつやるか?今でしょ!」 一時期、この言葉が巷で流行した。今では時折耳にする程度になってしまったこの言葉だが、私はある種、人生の核心を突いた言葉だと思う。実際、この言葉を最初に発した人物は、数多くの偉人の思想や哲学に関する書籍を読み、勉強…

「言葉」文学部一年 杉田 純

やまとうたは、ひとのこころをたねとして、よろづのことのはとぞなれりける。世中にある人、こと、わざ、しげきものなれば、心におもふことを、見るもの、きくものにつけて、いひいだせるなり。 これは、古今和歌集仮名序の冒頭にある文である。普段私たちが…

「記憶の棘」政治経済学部二年 高橋美有

パリが未曾有のテロに襲われた11月14日は、私の誕生日でもあった。 朝、起きると、緊迫感のあるパリの様子や響き渡る銃声音を伝えるニュースが目に入り、誕生日特有の幸せな気持ちは一掃された。私のTwitterには、「私は無事です」「人を殺さなければならな…

「新しいまち」政治経済学部 一年 齊藤雄大

番号が割り振られたトラックが閑散とした道を行き交っていた。そして、多くのショベルカーが、土砂を積み上げる作業を進めていた。あの日から、4年半以上が経った今、被災地の人たちは何を考えるのだろう。 私は、今月初旬、岩手県陸前高田市を訪れた。3.11…

「<他者>について語るということ」法学部二年 稲葉浩輝

早稲田大学雄弁会。雄弁でもって社会を変革する。そんな大層なことを掲げ、社会に対する当為を日々錬磨し弁論を通して当為を実践するのが、我々雄弁会員です。113年もの歴史の中で、「雄弁」という社会変革の手段は、伝統となりました。 私はこのサークルで…

"Who permitted me to be a woman?" 法学部三年 吉原優

紙面の上で、誌面の上で、あるいはデジタル媒体の画面の中で、「女性の社会進出」という言葉が躍る昨今。 女性が“輝く”社会にするために、女性を“活用”する。 それは、立派なスローガンを掲げた、素晴らしい試みのようにも思えます。 血を吐くような歴史を踏…

「一番の苦しみから人を救うということ」文学部一年 杉田純

誰しも、病気やケガで苦しんだ経験があるであろう。また、日常生活で何か嫌なことやつらいことがあった時も人は苦しみを感じる。そんな時、本人にとって一番大きな苦しみは何であろうか。 私は食事中に口の中や舌を噛んでしまうことがよくある。このように書…

「いろいろ<色々>」政治経済学部一年 宇佐美皓子

あなたはこの文章を見てどう感じるだろうか。これが私の見えている世界である。 世の中には、このように文字に色を感じる共感覚を持つ人々が存在する。 共感覚とは、文字や数字や音に、色や形を感じる現象である。中学校3年生の時にテレビで共感覚特集を見る…

「世界が優しくなるために」社会科学部一年 宇治舞夏

「あなたは、困ったときにすぐに助けを求めることができる人がいますか?」この質問に即座にYESと答えることができる人は多くないと思います。多くの人は「あの人に助けてもらいたい」と思っても「迷惑かもしれない」「心配かけたくない」「こんなことで頼っ…

「正しい人生」法学部一年 野村宇宙

「間違った旅路の果てに正しさを祈りながら」。これは、日本のロックバンドBUMPOFCHICKENの「ロストマン」という曲のワンフレーズである。人は皆、人生の分岐点で様々な選択をしながら生きている。そして、その選択の結果をもとに、自身のその後の人生が形づ…

「変化」政治経済学部三年 眞嶋明生

グレーゾーン対処の問題、集団的自衛権の問題、その先に有るであろう憲法9条改正の問題、ここまで日本の論点が安全保障に集中するのは久方ぶりである。アメリカの覇権弱体化、ロシア、中国のパワーの増大といった国際秩序の激変を前にすれば、安全保障が論…

「内秘心書」 政治経済学部二年 中園丈

どんな人も一生に一度は病気を患うだろう。そして病気はその人の身体もしくは精神に何らからの異常をもたらす。このような異常は病気の症状であり、現代医学ではこの症状に可能な限り早く対応することが治療の第一歩だと考えられている。 ところが、症状に対…

「グローバル社会に活きる早稲田精神」教育学部三年 二ノ宮裕大

「早稲田精神」早稲田で学ぶ、もしくは学んでいた人ならば一度は聞いたことがある言葉だろう。言うまでもなく、早稲田大学に学ぶ人々ならば当然持つべき精神を意味するのだが、ではその持つべき精神の中身とは何か?何故それが持つべきといえるのか?……この…

「拝啓 大嫌いな凡庸様」法学部三年 吉原優

あなたは、夢を諦めたことがあるだろうか。 私には、かつて何度も追いかけ、何度も諦め、それでも何度となく、思い出したように、追いかける夢がある。才能はあった。それを叶えられるだけの才能を、おそらく私は持っている。 けれど一方で、私は凡庸な才能…

「成功のタイミング」教育学部一年 山口宇彦

「あのタイミングで優勝したこと、後悔すらありましたから…」 スポーツ誌『Number』に載っていたあるプロ野球選手の発言である。スポーツ選手がなぜ優勝の栄光に後悔するのか。それは彼の経歴から見ればある意味納得かもしれない。 彼の名は高橋光成(たかは…

「TPPの功と罪」商学部一年 清水寛之

2013年3月に首相がTPP協定交渉への参加を表明して以来、連日新聞やテレビなどでTPPについて話題にあがることといえば、農産品の関税に関する日米協議についてである。その日米協議に関する報道の論調は、「日本はいかにして国内の農業を守ることができるのか…

「写心」 法学部一年 稲葉浩輝

「優しい。」私が高校の頃に趣味で撮っていた肖像写真を、大学の友人に見せると、左様に評してくれました。 私と写真との付き合いは、かれこれ十年程でしょうか。私がまだ小学生三年生だった頃、東北に住む母方の実家へ遊びに行った時の話です。祖父の部屋に…

「素敵な贈り物」法学部一年 保浦誠也

私は雄弁会に入会してから約9か月間、本を読み、文章を書き、話すといった行為を繰り返してきた。読書、執筆、議論。このような知的営みに共通するものとは何か。 まさしくそれは「思考」ではないだろうか。私はこのコラムにおいて、「思考」について検討し…

「何を見るかではない。何を知ろうとするかだ。」教育学部一年 山本耀介

私はしばしば目的地を定めず歩くことがある。休日や受業と授業の合間に、自分の周囲を散策しているのである。公園や路地を歩き、ただただ周囲を観察してまわる。特に意味があってやっているわけではなく、ただの習慣である。 そんなことをしていると、色々な…

「心」文化構想学部一年 酒井颯太

池袋でバイトをしていた頃、同僚にお笑い芸人をやっている人がいた。 まだ芸歴三年で、ショーレースに勝つために日夜、何もしない相方をよそに一人でネタ作りに勤しんでいるらしい。 ある日、バイト終わりに一緒に帰ったとき、彼が面白い話をしてくれた。 「…

「『生きる』ということ」 人間科学部二年 驥本憲広

人生で一番最初に絶望したのはいつの時だっただろうか。 人は壁に打ち当たる度に、その壁を乗り越えたり道を迂回することで進んで行く。しかし、誰一人として解決できなかった問題がある。「死」である。いままで何千、何万とある人類の歴史の中で何十億、何…

「早稲田浪漫譚――神田川と人生劇場――」 法学部三年 高野馨太

「早稲田に学んで波風受けて、行くぞ、男のこの花道を。人生劇場、いざ序幕」この言葉は、早稲田大学第二校歌とも称される「人生劇場」に歌い継がれてきました。ああ、何度この言葉を復誦したことか。この一節は、おもえらく矜持と決意の表明なのでしょう。…

「「正しさ」を掴み取れ!!」 政治経済学部三年 井守健太朗

2014年は各地で自然災害が発生した。広島県の豪雨による土砂災害被害、御嶽山の噴火と、どの自然災害も痛ましく被害は甚大なものとなった。自然災害は何も今年のみ発生しているものでは決してない。「10年に1度の大雨または暴風」―特別警報が新たに設置され…

「わたしがあなたを呼ぶのなら」 法学部二年 吉原優

人間は所有を示したがる生き物で、自分のお気に入りにはなぜか名前を付けたがる。あるいは、人類は新たななにかに名前を付けることで、一種の世界掌握への優越感に浸っている節もある。と、私は思う。 「名前」とは、なんであろうか。そんなことを思わせる、…

「フード」教育学部一年 山口宇彦

東京では幸か不幸か、世界中の味を堪能できる。早稲田大学の周辺にも、中華料理、インド料理をはじめ、イタリアン、フレンチ、タイ料理、沖縄料理と様々なジャンルの料理が集まっている。私もつい最近北海道銘菓の一つ、丸成バターサンド(知らない人はぜひ…

「議論って?」政治経済学部一年 緒方東吾

そういえばこの間靖国神社で「みたままつり」があった。毎年およそ三十万人もの人が参加する、東京の夏の風物詩である。様々な催しが行われ、多くの出店が軒を連ねる。境内へと続く道はたくさんの人でごった返す。中学生と思しき集団や、家族連れ、もちろん…

「自律への一歩」政治経済学部一年高橋美有

近年、国民が政治に無関心であることが問題視されている。テレビや新聞は、日々様々なトピックで溢れかえっている。忙しい日々の中で、私たちは自らに関係のあるトピックについて考慮するだけで精一杯である。また、例え政治的意見を持ったところで、その先…

「共に生きるということ」 商学部1年 清水寛之

このコラムをお読みいただいている読者の皆さんは、今までの人生において一度でもペットを飼育したことがあるであろうか。 おそらく多くの人にとって、その答えはYESであろう。 私自身はといえば、幼稚園に通っていた頃、実家で飼われていた1匹の犬の散歩に…